お屠蘇の由来記


私たち沖縄県民にはなじみの薄い本土の風習に、『お屠蘇』があることは何となくご存知のことと思います。お正月に頂く薬酒のことを言いますが、その習わしや由来などをご存知の方は少ないと思います。そこで『お屠蘇』について書いてみます。
『お屠蘇』には昔からの習わしがあって、年少者を先に順次年長者が頂くことになっています。これには二つの意味が含まれています。その一つは、薬酒なので年少者から毒味をすると言う儀式的なものと、年の少ない子供にとって、年が増えるということが成長に繋がるのでおめでたいということから先にするとも言われています。『お屠蘇』の言われは中国から伝えられたもので、その昔“蘇”という悪い鬼がいて村人を困らせていました。そこで薬草を飲ませて退治したという伝説から生まれました。悪鬼を屠る(ほおる・滅ぼすと言う意味)というところから出た名のことで、屠蘇というのは草の名を表しています。何となく、“カーサームーチー”の伝説に似ている気がしませんか? 日本では平安時代の宮中で用いられるようになり、その後民間に広まっていきました。昔は十種類程の薬草をそれぞれの家庭で調合して、三角形に織った小袋に入れ、大晦日の晩に井戸の中に吊るしておき、元旦の朝に取り出してお酒の中に入れて用いました。松の内を過ぎると残りかすは井戸に戻します。この水を飲むと一年中病気をせず健康に過ごせると言われていました。現在では山椒・細辛(さいしん)・防風(ぼうふう)・桔梗(ききょう)・乾羹(かんきょう)・肉桂(にくけい)・白球(びゃくきゅう)等を調合し、『屠蘇散』と名付けられて、手軽に薬局で求められるようになりました。本土の習慣にならって、風流なお正月を過ごしてみるのも又楽しいかも知れませんネ。



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